高卒派遣社員 "観光地ぶらり" 2025年3月19日

観光地ぶらり
観光地ぶらり
橋本倫史
OHTABOOKSTANDに連載された記事に大幅な加筆修正と書き下ろしを加え、著者が訪れた11箇所の観光地が描かれる。 "ぶらり"という言葉には似つかわしくない詳細な調査で浮かび上がる観光地の歴史。時代の移り変わりを観光客を通して見てきた地元の人々の物語。 景勝地にスマホを向け、ただサッとなぞるように通り過ぎる観光もあれば、著者のように滞在は限られていたとしても思考はじっくりそこに腰を下ろす観光もある。 どちらのスタイルの「観光」が良いとは断言できないが、著者のような想像力があれば、そこにかつてあったもの・かつて住んでいた人にまで思いを馳せることができるのだろうと思った。 橋本倫史氏は今の時代を代表する紀行文の名人と言って過言はない。移り変わる日本の姿を、彼の目に映る光(観光)を文章の形で読めるのは、同じ時代を生きる読者にとって幸福なことだと思う。 本を選ぶ際にあとがきから読むことが習慣になっていたが、少なくとも本書に限っては、あとがきを後から読むことをおすすめしたい。ぶらり旅から立ち上がってくるであろうテーマを、あれこれと想像を巡らしながら読み進めるのがとても楽しかった。
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