
時間のかかる読書人
@yoko45
2026年4月30日

読みたい
@ 自宅
次のお薦めは、角田光代の小説「八日目の蝉』です。生まれてすぐに、誘拐されてしまった女の子の話です。彼女は、何の記憶もないときに誘拐され、誘拐犯(実は女性です)に連れられいろいろなところを巡りながら何年間も逃亡生活を送ります。結局、誘拐犯は逮捕され、主人公の女の子も、両親のもとに帰ることができますから、ある意味では、ハッピーエンドです。が、実は、ここまではまだ話の半分です。後半では、誘拐された女の子が、もう「女の子」ではなくなっています。二十歳の若い女性です。彼女は、ある苦しみをかかえています。
なぜ、彼女は苦しいのか。そこを考えて欲しいと思います。この小説を推薦しているのは、実は、講義とも関係が深いからです。講義の中で、フレデリックとアルマンという二つの名前をもった少年のことを論じました。『八日目の蝉』の主人公も、二つの名前をもっています。彼女のどちらの名前が「フレデリック」に対応し、どちらが「アルマン」にあたるのか、も考えてみてください。人間にとって名前とは何か、ということについて深く考えさせられます。
「八日目の蝉」というふしぎなタイトルが何を意味するかは、ネタバレになるのでここには書きません。