八日目の蝉

18件の記録
- たご@clan_19672025年5月16日読み終わったかつて読んだ中学生の頃に初めて読み、それ以来、角田さんの描く作品とその価値観を信用しきっている。男女の関係とか親子の確執とか、そんなことを考えたこともなかった自分がそれでも心を動かされたのは、きっとこの作品が、「私」という自己そのものを探す作品だったから。 望んだものは手に入らず、それなのに決して欲しくなんてなかったものだけは、どうしようもなくもってしまっている。無数の「こんなふうになりたいわけじゃなかった」を抱え、人は生きていく。けれど、たとえ望んだものではなかったとしても、ぎゅっと目をつむっていなくちゃならないほど、そこから見えるのはひどい景色ばかりではない。八日目の先にはどんな景色が広がっているのか、それはその人自身にしかわからない。
- つむぎ@0315_tmg2025年3月17日読み終わった何度か映画を見たことがあったので、様子が頭に浮かんで読みやすかった。希和子は攫った娘を何よりも大切にしていた。逃走が見つかり、本当の両親の元で暮らすようになっても、幸せそうに見えない。私はつい、薫でいた方が幸せだったんじゃないかと考えてしまう。希和子は犯罪者だが、確かに母親だった。
- 廣 亜津美@hiroatme2025年3月9日かつて読んだヤマギシ会あるいはオウムのようなカルトの世界を内部から見つめる部分が一番面白かったです。全体に弱者に対しても視点は暖かく、ヒューマニズムに満ちています。原作は前半の希和子に感情移入しましたが、映画版では後半の恵理菜の方に惹かれました
- ☾@__youl2025年3月9日読み終わったかつて『紙の月』を一気読みしたように、こちらも一気読み。紙の月を読み終えたときは、胸糞悪くてううっとなってしまったが、その理由が今作を通してわかった気がする。角田光代さんは、心理描写がうまい。すべての登場人物の心の動きが手に取るようにわかる。その場にいるかのように伝わってくる。母親や家族というものがテーマだったのかもしれないが、こんな文章でこのきもちを表現するんだ、ということにただ感心しながら読んでいた。何度もいうが、エッセイを読んでからこのひとのことがとても好きになってしまった。