たろう "平和と愚かさ" 2026年4月30日

たろう
たろう
@Taro1998
2026年4月30日
平和と愚かさ
哲学者・思想家の東浩紀の"哲学書っぽくない"本。 とりあえずそうとしか言えないほど、自由な文体で書かれている。 本書は近年の東の様々な論考を再編し、まとめられたものである。その多くは東が「観光客」として訪れた旧ユーゴスラビア諸国、ウクライナ、広島、ベトナム等で感じた「平和と愚かさ」に関する考えをまとめた文章である。 「平和と愚かさはともに『考えないこと』の表現である点で共通している」。しかし、現代は人権問題でも経済格差でもジェンダーでも社会全体が考えることを強制してくるような社会だ。 だからこそ、ここでもう一度「考えないことの価値」を考える必要がある=考えない事を考える、という序章を経て旅の話に入っていく。 だからそういう意味では旅行記なのだが、にしては哲学書のような注釈が多すぎるし、東の思考が旅行地を離れてより抽象化された哲学的な議論に深入りしている部分もあるし、などとにかく自由に書いている。 その効果について語れるほどまだ深読みは出来ていないが、学問的な分かりやすい結論を避けた留保付きの回答しか示さない文章を読むうちに自然と我々も「考えないことについて考える」ようになっている気がする。 個人的に興味深かったのが、「ウクライナと新しい戦時下」という章。ざっくり、日本人は戦時下と聞くと敗戦直後の極端に悲惨な状況をモデルに想像するように訓練されている一方で、現代のウクライナの戦時下は、SNS時代の到来によってプロパガンダ的なものも含め、戦争を明るく楽しいものへと表現するようになってきているという話。 昨今のホワイトハウス公式のイラン侵攻をまるでビデオゲームの世界のようにカッコよく、楽しく見せるPR動画の流布や、自身をローマ教皇のように見立てたAI画像を投稿したトランプの行動など、到底理解に苦しむ米国政府の戦争に対する反応も、最新のプロパガンダ戦略として見るとまた別の分析が出来るかもしれないと気付かされた。
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