ころもで "カフネ" 2026年4月30日

カフネ
カフネ
阿部暁子
誰もが抱える「だれか助けて」を掬いあげて癒し、再生に向けて励ましながら、「他者を理解できていないことを理解する」からはじまる希望と割り切れなさを描いた物語。 極めて読みやすい文体。 読後感としては、90分の良作映画を観たあとに似ている。 「すごく大切な、重くもできるテーマを扱ってるんだけど、あえてライトめに飲み込みやすく作ってくれてて、なおかつ90分。正直助かる。」みたいな。 “「死ぬまでは生きなきゃいけないし、健康じゃないと生きるのはますます苦しくなる。なるべく快適に生きるためにも栄養は必要。あとね、おにぎりを作れるようになると、人生の戦闘力が上がるよ」” 印象的なフレーズ。 心のポケットに入れておいて、弱ったときにまずはおにぎり!戦闘力!と立ち上がりたい。 その他、極めて個人的な所感。 出産・出生することの希望を持ててしまう感は一体何なのだろう。全てをリセットできそう感。免罪符くらい強い。 人間はこの「感じ」に、良くも悪くも振り回されている気がしてならない。 ラスト近く、薫子とある人物との会話に、あらためてそう感じた。 おや?と感じた点は、会話文がYAのようなライトさで、それでいて「~わよ」「~だわ」といった記号的な女性語尾がまだ生きてるんだ…ということ。 作家が何を内面化して、何を狙ってそういう表現をするのか、機会があれば知りたいところ。
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