
柴犬
@storyseller
2025年3月19日

終末のフール
伊坂幸太郎
読んでる
まだ読んでる
優しいのと、小心なのとは、紙一重だよ
和室のテレビで、静江と並びながらビデオを観た。ひどく騒がしく、内容のない映画だった。アメリカ人夫婦が怒り、喚き、騒いでいるだけだ。題名が『壁の中に誰かがいる』となっていたので、てっきり、壁の中に幽霊が見え隠れするような、「いないようでいて、やはり、いる」という雰囲気の映画だとばかり思っていたのだが、まるで違った。物語がはじまったとたん、舞台となる家に、大勢の人間が監禁されていることが分かる。「誰かがいる」どころではなくて、「大勢いる」と言ったほうが近い。
静江も同じ感想を抱いたのか、観終わった後で、「ずいぶんあからさまにいましたねえ」と感心するかのように、呟いた。



