
夕つけ
@niwatori777
2026年5月1日

熟柿 (角川書店単行本)
佐藤正午
読み終わった
轢き逃げをきっかけにすべてを失い、獄中出産で生まれた息子の拓と離れて生きることになったかおりの、長く重い時間の物語。タイミングの悪さと過去の罪に翻弄され続けながらも、「いつか会える日」を想像するしかできないのが辛い。
派手な展開はないが終始苦しく、それでも読後感は不思議に爽やか。タイパを重視するこの世の中で、「その時」がくるまでじっと待つ、そして、いつかは「その時」がくるよ、という希望を示してくれる物語だった。拓にもいつか、かおりが遺したノートや拓に宛てた手紙(心の中のも含めて)を読んで欲しいと思う。

