
紫嶋
@09sjm
2026年5月1日
この闇と光
服部まゆみ
読み終わった
借りてきた
これはネタバレなしで是非とも読んでもらいたい一冊。
「あ、そういうこと!?」「え、そうなの!?」というポイントがいくつもあり、この先何が起こるんだろう…という好奇心が最後まで続いた。
(以下ネタバレ注意。)
明かされる真相に驚いたり、真相のさらなる核心に想いを馳せるという点ではミステリかもしれないが、この物語の真髄は恐らくそうした表面的な出来事や事実ではないのだろうな、とも思う。
年齢という精神的制約と、視力という物理的制約によって「現実」を知らずにいる幼子が、最も純粋な幼少期に美しいものだけを与えられ、創り上げられた幻想の中で育てられたなら。その子にとってはそれこそが世界の全てであり、完成された箱庭であり、拠り所であった育ての人は神にも等しい存在であり…。
現実から見ればそれらは虚構でしかなく、真相を解き明かそうとすればするほど犯罪性や犯人像といった身も蓋もなく無粋な言葉に置き換えられていってしまう。
幻想を解体し、現実に適応することが正しいのだと頭ではわかっていても、それをどこかで惜しいと感じてしまう。
それほどまでに、信じ込まされていた幻想や、そこで与えられた芸術の美には抗いがたい魅力があった。
ネバーランドの喪失を体験するような痛みを、主人公を通してこちらも味わうかのようだった。
