
あんどん
@andon_tenten
2026年5月2日
神様の暇つぶし
千早茜
読み終わった
読みながらずっとドキドキしていた。
ひと夏がものすごいスピードで駆け抜けていった。
過去に私の写真を撮ってくれる男の人がいたことを思い出した。その人は、カメラ越しに私を見て、シャッターを切ってそれっきり。その人が撮ってくれた写真を見たことはなかったけど、私はカメラ越しに見られるのは嫌じゃなかった。むしろ、一瞬を逃すまいとカメラを構えて、私をじっと見ていると思うと、心地よく感じていた。だから、私も全さんに縋る女の一人になっていたかもなと思う。
今の時代、写真は自分でも簡単に撮れるけれど、他の人に撮ってもらう写真はやっぱり意味があるように感じる。カメラマンではない私にとっては、対物は気軽に撮影できても、対人はどこか緊張感があるし、意味もなく撮れるほど気楽ではない。誰かを撮影するということは強い理由がある。それは、全さんも同じだったと思う。実際、全さんは気軽にパシャッと撮ってはいない。藤子と過ごす中で撮りたいと強烈に思わせる生命力と若さを感じていた。例え、仕事の一環であったとしても、全さんが藤子に大きく心を揺さぶられた証拠だ。
女性は老いを恐れる。もちろん、そうではない人もいるだろうけれど、大抵はシミやたるんだ肉を見ては悲しくなる。だから、美しく、若く、健やかな自分を覚えててくれて、綺麗に残してくれる人に惹かれる。写真を撮るのが上手な男性がモテるのはそういう理由もあるのだろうか。女性は、毎秒老いていく自分の、女性としての魅力を残してくれる相手が欲しくなるのだろう。
また、全然話は変わるが、噂に聞いていた通り、千早茜さんの食事の描写が凄すぎてびっくりした。それこそ、生命力溢れる食事シーン。どれも美味しそうであった。
一瞬、ひと夏。その中に藤子の生命力が溢れていた。藤子にとって、絶対に忘れられない恋だろう。相手に出会う前の自分を思い出せないような恋なんて素敵じゃないか。羨ましくなったが、私もまだ間に合うかもしれない。今年は誰かとたくさんビールを飲む夏にしてみようと思う。
(2026-05-01 読了)
