たけの "時をかけるゆとり (文春文庫..." 2026年5月2日

時をかけるゆとり (文春文庫)
さて、私は今新前橋駅の駅前のロータリーでこのnoteを書いている。ゴールデンウィーク、私は神津島に行こうとしていたのに。意味がわからない。今回のゴールデンウィーク、私は張り切っていた。苦手な予約を頑張り、東京汽船のホームページからジェット船を予約。星空ガイドがいらっしゃる素敵な宿を予約。お隣の式根島へのジェット船も予約。海鮮の美味しそうな宿も予約。予約。予約。予約祭りを乗り越えて、よーし!着いてからの天気も良好!と思っていたのだが、風が強すぎて東京発の便がすべて就航せずに、泣く泣く予定を諦めた。あまりに直前すぎて、あまりにもすることがなく、でもゴールデンウィークなにもしないのは悔しい…。し、関東は明日は晴れ。山に登りたい欲はすごくある。そんな時こそ、我がホームマウンテン谷川岳だ!と思って、ちょっと奮発していい宿でもとってしまった。せっかくのゴールデンウィークだもの。そして、大宮であまりの人の多さに困惑した。ゴールデンウィークを舐めていた。新幹線は無理だと思って諦めて、ついでに登山のことも諦めて、でも宿は予約してるからな…と、鈍行で行くことにした。  大宮から水上は遠すぎて、あまりにも暇で、同僚からもらった本のことを思い出して、この本を読み始めた。ら、びっくり。〈旅行を失敗する〉という章で、御蔵島という、神津島のお隣の島に30時間かけてたどり着いた話が出てきた。不遜ながら、私の話なのか?と思った。45時間かけて鈍行に乗ることを諦めた話も出てきた。さすがに私なのか?と思って、所々電車なのにも関わらず、終始にやにやしながら読んだ。  『時をかけるゆとり』の、朝井さんはエネルギーに満ち溢れている。エネルギッシュさのあまり、いろんなことをコントロールすることに躓いていて、本当に面白い。だいたい、一話目から、便意をコントロールできていない。愉快すぎる。ニヤニヤしながら、私も全く日々をコントロールできていないな、と自分の中の面白い失敗エピソードを思い返す。そもそも、大学生の時の朝井リョウに、先月30周年を迎えた私が真っ向から共感していていいのだろうか。不安である。私だって、30歳ってもっと落ち着いていて、洗練された暮らしをしているものだと思っていたのに。でも、洗練された日々を送っていた場合、こんなに心の底から『時をかけるゆとり』には共感できなかったはずなのだ。面白いとゲラゲラ笑えたとしても、「私だっておもしろエピソード、いっぱいあるもんねー!」の気持ちにはならなかったはず。帯には、”圧倒的に無意味な読書体験”と書いてあったけれど、鈍行移動で「こんなはずでは…」と思っていた私の自己肯定感を上げてくれて、すごい愉快で最高のエッセイだった。朝井さんの文才にかかれば、予定不調和でガタガタでまったく整っていない日々も最高な気がする。ありがとう!
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