
とりまよ
@torimayo
2026年5月2日

ブレイクショットの軌跡
逢坂冬馬
読み終わった
まず、群像劇最高。
群像劇とはかくあるべし。
人物をただ並べればいいわけではない。
人物を同じところに集める必要は必ずしもない。
別々に描写したものをどこで繋げるか。ここがとにかく重要である。
繋げ方にも色々あるが、実は繋がりのある人たちでした。という繋がり方より、繋がりがないのに(出来事が)繋がってました。これが私の好みです。この作品です。
ある事件をきっかけにばらばらの人が一堂に会する系ではなく、彼ら自身に起きた出来事を少しずつ共有しながら薄く繋がっているというのがいいんですよ。
かつて伊坂幸太郎にハマった時の気持ちを思い出させてもらった。
と同時に逢坂先生の半端ない知識の物量で、群像の「別々感」を際立たせたのは見事としか言いようがない。伊坂幸太郎を読んでる時より別々感がすごかった。
中身の話で言うと、自分が後藤家好きすぎ問題。まず子どもができてから友彦みたいなキャラはもう泣けて仕方ない。子どもへ向けるその心情を理解できるようになった自分は、過去の自分とは明らかに違う自分になったと思わされる。そして晴斗はこの物語の中心すぎる。薄く繋がってると書いたが流石に今回の登場人物の中では圧倒的にほぼ全てに影響を及ぼしているスーパーキャラ。でもそれに説得力を持たせられるキャラ設定でもあった。その根っこに両親の愛を一身に受けたという事実が横たわってるのはでかい。
昴、ボルト言えてよかった。昴のせいで友彦が…ってわけじゃなかったのは本当に救い。だし、安易に、あの事件が全ての引き金で…みたいな話にもならなかったのも印象が良かった。
セレナ=亜子ってみんな気づいてた?俺はエピローグが始まっても、「もうエピローグかよ!何も片付いてないじゃねーか!もっと読ませろ!昴はあの不思議な女性とどうなるんだ!」などと、セレナの名前も忘れかけている始末。よく考えたら、タカノマキやアセクシャル繋がりで気づかなきゃいけなかった。
冬至はもうちょい最後の方いいキャラにしてあげても良かったような…。結局宮苑には勝てんし親としての器量もないしみたいなちょっと残念めな描かれ方になってしまったかな。
アフリカ編、なぜかあまりすきではなかった。なかなか繋がってこない、というか、割と早い段階で繋がりはわかったわけだが、なぜ来たのかとかそう言う話が気になって、2人の若者の方にあまり興味が向かない状況になってしまっていて、その真相がエピローグでザクっと明らかにされたので、ここはもうちょいあったかもなと思った。
他にも色々あるとは思うが、ざっとこんなものですかね。ずっと面白かった…こういう体験をまたしたい。あとKindle版で読んでてどこでも読めて良かったけど書籍買って布教しようかな。

