
merricat
@merricat
2026年5月3日
べっぴんぢごく
岩井志麻子
読み終わった
女性作家の描くホラーなら不快感なく読めるから、という理由で購入してみたものの、女性作家特有の写実的で淡白な語らいが現実の生々しさを強調していてむしろグロテスクだった。官能ではなく生殖。それも呪われた因果故の。ただ新しい娘が誕生する度に「前回までのあらすじは……」が繰り返されたのが少しコミカルだった(あえて呪詛のように反芻したのであろうことは分かっているのだけれど)。七代目まで書く必要はあったのかな?乞食という最下層の、だがありふれて実在していた人間から始まった呪いだからこそ気味悪く感じられたところを、現代に近づくにつれ、マフィアや両性具有という一般人からすればほとんど神話である存在が続々と登場してしまったことで、かえって物語が凡庸になってしまった気がする。冬子の代までで十分だったと思う。
趣旨である「美女と醜女が交互に生まれる家系」については、醜女の描かれ方の方が影があるぶん強烈だったけど、どの娘も地元の名士だからか他の醜女よりは待遇は悪くないし、良くも悪くも呪いによってまぐわう相手は決まって美形なのでそれも含めてどん詰まりではない。美女だから幸福、醜女だから不幸といった二極化をしておらずそれぞれにグラデーションがあるのがよかった。一方で全員に共通している、情愛を抱いた相手とは結ばれないという因果や目に見えないものを見る奇妙な力は土着ホラーらしい表現として楽しめた。