
ジクロロ
@jirowcrew
2026年5月3日
からだに従う ベストエッセイ集
谷川俊太郎
読んでる
子ども時代をふり返ると、私は何よりも先ず一種の暗さを感ずる。そして次に無力感とそこから生じるいら立ちのようなものを思い出す。暗さは、未分化なせまい意識と言いかえてもいいと思う。今の自分がところどころに晴れ間のある霧の中を歩んでいるとすれば、子ども時代の自分は一寸先も分からない濃い霧の中にいたと私は感じている。
(『暗さと無力』)
自身の「暗さ」に対する正直さ。
「子どもの頃はよかった」という感慨はつくられた、または切り取られ編集されたものであり、大人としての「弱さ」に直結しているような気がする。
自身の過去に不正直であることは、自分のうちに棲まう子どもへの裏切りとも言えそうな。
ぜんぶ嘘さ 大人はクソだ
子どもの頃 楽しかった
なんて うそさ
(『うそさ』 Jinmenusagi)
最近は、時間が空くとこのフックが頭の中を何度も再生される。頭は正直だ。
ノスタルジックとは「幸福」の編集工学。
気分の良いときは、気分のよくなるものしか
集められない。
これが「幸福」?
これだけでは「詩」にならないということを、
谷川さんはこのあまりにも正直な
(正直すぎて驚くほどの)文章で教えてくれる。