
和月
@wanotsuki
2026年5月3日
ハンチバック
市川沙央
読み終わった
あらすじも何も調べずに何となく手に取って読み始めた。読んでいる間ずっとガンガン殴られる、沸々と煮えたぎる怒りを感じる作品。
朝井リョウさんの『正欲』を読んだ時も感じたけど、自分が知ろうとしない、あるいは意識せず排除している世界の一部を真正面からぶつけられると、己を省みて恥ずかしくなる。この恥ずかしいという感情すら、その世界の一部の当事者に自分はなり得ないことを前提に思考している。
社会では「相互理解」「多様性」とマイノリティとマジョリティを結びつける言葉を積極的に打ち出すけど、実際には自分が体験していないことを真摯に理解することは難しい。中途半端な理解や同情、共感の暴力性について考えさせられる。
人間が何に目を向けて物を考えるのかは当人の自己都合によるものが大半で、この人間の利己的な本質をコタツ記事の本文や田中、最後に登場する人物の描写が表現しているように感じられた。
また、読書バリアフリーについてはこの作品を通して知ることが多く、如何に自分が紙の本を読む上で恵まれた条件かを思い知った。芥川賞受賞スピーチで市川さんが語られていた言葉も併せて読み、私自身が加害者の1人であることを受け止める必要があると感じた。


