
和月
@wanotsuki
2026年5月3日
眠れない夜のために
千早茜,
西淑
読み終わった
雨が降り止まない夜のお供に選んだ一冊。
眠れない夜に寄り添うお守りのような本。
西淑さんのイラストと千早茜さんの言葉で紡がれる掌編は、様々な夜を過ごす存在を美しく静かに描いている。
私は、ついこの前まで不眠と縁のない人生を歩んでいて硬い床の上でも熟睡できる人間だった。横になって目を瞑り、いつまでも意識を手放せない焦りに悩まされて初めて、不眠の辛さが身に染みた。眠れない人に対して安易な助言をしていた己の言動を反省した。
そんな訳で、第三夜「水のいきもの」は一等お気に入り。息が苦しくなる水の底でも、一緒に泳いでくれる存在がいれば何だか大丈夫な気がしてくる。明けない夜はない、という言葉の通り希望が感じられるラストが良かった。
第七夜「夜の王」もとっても良かった。彼のお茶目さわんぱくさが溢れていて、でもしっかりお姫様のことを思い出してくれる愛情深い所が可愛かった。朝にはめちゃくちゃ叱られるんだろうな……。
どのお話も夜の情景が素敵で、不安定で怖い一面も宿しているのに、何処か嫌いになれない魅力があった。
昼間とは異なる顔をした沢山の夜たち、或いは夜に眠れない人たちが、別の存在と連帯したり夜の向こうにある光に目を向けて、歩を進める。ひとりぼっちで長い夜を過ごしている読者が、ひとりじゃないと思える。そんな本の世界が広がっていて心地良かった。




