時間のかかる読書人 "高校生のための 人物に学ぶ日..." 2026年5月4日

高校生のための 人物に学ぶ日本の思想史(1)
高校生のための 人物に学ぶ日本の思想史(1)
佐伯啓思,
公益財団法人国際高等研究所,
高橋義人
西田幾多郎 4「純粋経験」の概念を編み出した西田 西洋哲学というのは、私(主体)の向こう側に世界がある、これを可能な限り厳密に記述し、また正確に分析する、というものであり、ここに西洋の科学が成立する根拠もあった。花をみるという経験から出発するのではなく、花は花として存在する、というところから出発すれば、花の成分が分析できれば次に品種改良して、もっときれいな花を咲かせることができる。こうした論理がでてくる。 逆に見れば「世界」から切り離されたところに「私」、あるいは「主体」がある。だから、「主体」は、花をいかようにでも品種改良できる。そこに人間能力の発展や自由の拡張がある。西洋思想や西洋の科学の意味もそこにあった。 しかし、本当にそう考えてよいのだろうか。「私」も「世界」の中にいて、その中で動きまわっているのではないか。世界と私は分離してあるのではなく、世界が現れるところに主体は様々な形で「世界」と出会う。そこには人間の精神が働き、人間の生がある。それは世界と結びついている。われわれはすでにある種の世界に生きている。人間は「世界」から切り離されてあるのではなく、「世界の中」にある。世界の中でいろいろな経験をするのだ。西田は、そういう一番根底的なところに戻らなければならないと考えた。
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