
時間のかかる読書人
@yoko45
2026年5月4日

高校生のための 人物に学ぶ日本の思想史(1)
佐伯啓思,
公益財団法人国際高等研究所,
高橋義人
読んでる
@ 自宅
言葉が出てしまった時にはその大事なものが抜け落ちてしまう。言葉にならないその瀬戸際が大事である。そして日本人には言葉になる以前にこそ大事なものがある、という、そういう、心があった。例えば、桜の花を見たら美しいという。桜の花を客観的に見て美しいというのではない。
桜の花が美しいというときに、一気に咲いて散っていく、そのように人生が送れたらいいという。あるいは、そこに人生のはかなさを託する。それは口には出さない。しかし言葉にはならない思いを託している。そこでは自分が桜の花の中に入り込んでいる。自らを桜と一体化している。人々は、伝統的日本文化の中で、このような思いを抱いて桜の花を見てきた。日本で桜の花が特別視されるには、こういう思いの歴史があるからで、いい換えれば、西田のいう純粋経験こそが大事だという思いが日本文化にはある、ということだ。逆にいえば、桜の花がきれいだと言葉に出したとたん大事なものを失ってしまうと考える。