
へみんぐ
@sakamotodiary
2026年5月4日
テスカトリポカ
佐藤究
読み終わった
Kindle
アステカ文明の古代神テスカトリポカを信仰している麻薬密売人の話。
アステカ文明という自分からは学ぶことが恐らくないであろう世界観を知れました。
宗教については日本ではあまり馴染みがないどころか悪い悪徳宗教ばかり目立っている気がしますが、時代が時代なら暴力を抑制して集団をまとめ上げる力を秘めているのが宗教だと思います。
実際に本書にも"人間が黒き鏡(テスカトリポカ)の供犠をやめてしまえば、その日からすぐに暴力の伝染が始まる、たちまち仲間同士で殺し合うようになる"とあり、すなわち生贄を捧げる行為で大勢の人間が助かるというトロッコ問題で言うところの少数を犠牲にする考え方が出てきます。
そのような信仰心でバルミロは殺人行為や血の儀式と称して生きたまま人の心臓を取り出す行為など非常にグロテスクで残酷なことをしますが、信仰心ゆえに一切の躊躇がなく、良心の呵責すら感じないような淡々と仕事をこなしてゆく感じがしてグロさよりも生き抜く厳しさを感じました。
まるでそうしなければこの地獄を生きてゆけないと言ったような人間社会の残酷さ、理不尽さを裏の裏まで隠さずに描いている作品だなと思います。
とはいえ現代においては法が秩序を守ってるわけですから犯罪ですし、狂気的で圧倒的な暴力にはただ恐れしか感じません。ラストにはコシモがパブロから教わった聖書の一説 "「わたしが求めるものは憐れみであって、いけにえではない」とはどういう意味か、行って学びなさい"という言葉と少年との会話で善を学ぶことで、チートみたいな強さのコシモが善に目覚めてよかったです。
そもそも善悪の区別がつかないコシモが悪の操り人形とされていただけでそれを自分の力で解放したとも言えそうですが…。
ところで生きた人間の心臓を取り出す血の儀式に何処か既視感を感じていましたが、ジョジョの冒頭シーンってあれアステカ文明??