
deepend
@deepend
2026年5月4日
家族八景
筒井康隆
読み終わった
かつて読んだ
「澱の呪縛」が特に面白かった。
不潔である者が他人に自分のスペースを掃除された時に感じる恥。
その恥があまりにも強大で自尊心にあまりにも大きく影響を及ぼすものだから、恥を自覚しておく時間ももどかしく、瞬く間に掃除した者への鋭い敵意と怒りに変化するというそのリアルさ。
筒井康隆すごいなー。
"彼らは自分たち家族の不潔さに気がついたのだ。
なれあい的な家族意識、生理を同じゅうする者同志の連帯感によって、澱の如く沈潜させられていた彼らひとりひとりの、なま暖かく住み心地のよい異臭に包まれた不潔さが、今や意識の表面におどり出てきて牙をむき出しはじめ、それを告発した具体的なものこそ、(昨日やってきたばかりの十八歳のお手伝い)だったのである。"
p.55
「水蜜桃」の、七瀬に害をなそうとしてくる者との対決シーンもハラハラしてよかった。
「水蜜桃」以降の話は、多少の犠牲を覚悟して七瀬が積極的に人をコントロールしようと試みたりと、彼女がどんどん冷血になっていったな。
他人の心の中にある罵倒や悪意に触れ続けていると多少冷酷になるのは、無理もないんだろう。
それにしても不倫している家庭の多さよ。