
阿久津隆
@akttkc
2026年4月21日

響きと怒り
ウィリアム・フォークナー
読んでる
もう2時55分じゃないか、と考えて立ち上がり、布団に入るとクェンティンと少女は川遊びの男の子たちから離れたところだった。
p.244
ぼくたちは歩きつづけた。「あそこはぼくたちのいくところじゃあないんだ、そうだろう」太陽がいよいよ西に傾き、あちこちの苔の上に射しこんでいた。「可哀想だが、君は女の子だからね」苔のあいだに小さな花が、見たことのないほど小さな花がさいていた。「君も女の子だからね。可哀想だけど」小径があり、川にそって曲がっていた。やがて川はもとの静けさに帰り、小暗く、静かに、早く流れていた。「やっぱり女の子なのさ。気の毒だが」ぼくたちは息をはずませながら濡れた草の上に横になり、雨が冷たい弾丸(たま)のようにぼくの背中に当たっていた。お前だって本当は気になるんだろう どうだい どうだい
あら あたしたちはすっかり泥だらけだわ 立ちましょうよ。雨がぼくの額に当たるとそこがひりひりし 手でさわってみると赤く血がつきそれが雨のなかで桃色の条(すじ)になって流れた。痛い
もちろんさ お前はどう思うんだい
それから女の子の家族にぶん殴られ、誤解だ、彼は家に帰そうとがんばったんです、しかし本当に誤解だろうか、と私は考えながら行くすえを見、都合のいいことにシュリーヴたちと遭遇し、しかし妙な裁判になり、7ドルを支払って、車に乗り込み、それからキャディとの話にしっかり移り、『アブサロム、アブサロム!』ではおくびにも出していなかったクェンティンの暗い過去というか、そういうものを読み、お前、とんでもないやつだったんだな、空洞の、物語を反響させるだけの装置だと思っていたけれど、お前もまたとんでもない物語を抱え込んでいたんだな、と考えてから寝た。