うさ松 "プロジェクト・ヘイル・メアリ..." 2026年4月29日

うさ松
@risotto-1931
2026年4月29日
プロジェクト・ヘイル・メアリー 下
プロジェクト・ヘイル・メアリー 下
アンディ・ウィアー,
小野田和子
SF苦手勢にとっては描写が細かくてしんどかった。ラストはほろりと来たので、読んでよかったとは思う。読後感は素晴らしい。 ネタバレ厳禁、とにかく前情報を入れずに読め、というオススメのされ方をする本作だが、個人的にはそんな配慮は要らなかったと思う。 (以下ネタバレ感想) 徹頭徹尾、この作品のテーマは「コミュニケーション」だと感じた。 主人公は異星人との交流のため、相手の言語を理解しようとあの手この手を尽くす。しかしそれは本質ではない。地球において、プロジェクトの責任者であるストラットは主人公とのコミュニケーションを放棄して無理やり宇宙船に乗せて彼を送り出してしまった。同じ言語があったところでこんなもんである。(その原因となった、候補者の爆死事故の原因もまたごく些末なミスコミュニケーションであったのはなんとも皮肉である) 一方で、主人公と異星人との間では、言語による交流や、共に困難を乗り越える過程を経ることで、信頼が構築されていく。そして最後主人公は、遠く離れた、通信もできない「相方」のため命を投げ打つ選択をする。それは主人公が異星人とのコミュニケーションを積み重ねて相互の信頼を構築した先にのみ存在する結末だったと思う。 だから個人的には、この作品は異種属バディもの、ヒューマンドラマとして素直に売り出せばそれでよいと思う。どうやら異星人の存在が「ネタバレ厳禁」要素とされているようだが、それが当てはまるのは一部の(主には著者の他作品を読んだことのある)読者だけで、SFを普段読まない自分のような人間には、異星人の登場はなんら驚きではなかった。だって宇宙が舞台だし……。
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