
時間のかかる読書人
@yoko45
2026年5月6日
すばらしい新世界
オルダス・レナード・ハクスリ,
黒原敏行
気になる
産業文明は、自動車や航空機の普及によって新しい段階に入りました。人の動きも、都市の生活も、エネルギーの必要もそのときから大きく変わりました。この小説はちょうどその頃に未来を想像して書かれたものです。人間は産業技術を自分たちで作り出し、自分たちがその主人だと思っていますが、それによって社会がシステム化されるにつれて、人びとはそこに組み込まれ、システムの方が自立して人間はその円滑な運行のためのコマのようになります。社会が便利になればなるほど、人間もその利便のために管理され、統制されるわけですが、システムに同化するとその便利さが自分の「能力」であり、それが「自由」なのだと思い込んでしまいます。そのような「文明の反転」を先駆的にみごとに描き出した作品で、わたしたちが生きている世界とはいったいどうなっているのかを考えるために一度は読んでおきたい作品です。
