ぴよみ "凍りのくじら" 2026年5月6日

ぴよみ
ぴよみ
@erim_0521
2026年5月6日
凍りのくじら
凍りのくじら
辻村深月
★★★★★ SFは苦手だ。現実離れしている世界に感情移入ができず読んでいて挫折することが多い。だけど辻村さんのSFはファンタジー要素はあるものの、自分の心にグサッとくる瞬間や言葉が散りばめられていて、あっという間に読了してしまう。 凍りのくじらは、私の中できっとまた読み返す大切な小説になったと思う。 私の中で特に印象に残っている理帆子と若尾という登場人物。この2人に共通する私のなりの解釈は「人を小馬鹿にすることでしか自分を正当化できない」だ。 最初は嫌な感じの登場人物だな〜と思って読み進めていたけれど、2人の言動に他人事と思えない瞬間が多々あった。 何だろう。ざわざわする。私って自分にできないこととか失敗したことに対して、周りの人を下げることで自分を納得させている面がないか。大した努力もしていない口だけ人間のくせに、自分の怠惰な部分は棚にあげて、環境や周りのせいにする。周りが羨ましいことを認めない、そんな態度。 若尾の最終的な行動はいきすぎたかもしれないが、レベルは違えど自分にもそのような節があることに気付いて、すっっごく恥ずかしくなった。 対して努力もしていないのに、どこか自信過剰でできなかったら周りの環境のせいにする。人間として恥ずかしい生き方をしている自分を思い知らされ、あまりの痛々しさに言葉にできない、ハンマーで殴られたような感情だった。 人は第三者から指摘されないと恥ずかしい自分に気付けない。今回この小説に出会えたことは、きっと私の財産になる。 この恥ずかしさを忘れそうになったときに、また読み返したい。心に刻んでおきたい。 出会えてよかったと心から思える小説だ。
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