しんどうこころ "愛の生活・森のメリュジーヌ" 2026年5月7日

愛の生活・森のメリュジーヌ
愛の生活・森のメリュジーヌ
芳川泰久,
金井美恵子
日常の中に、突如として現れる猛毒。 そこかしこに点在している不快感を濃縮したような、異様な読後感が残る。しかも不思議なことに、その毒はどこか恍惚としている。 澄んだ湖の水底には、腐葉土になりきれないヘドロが静かに沈んでいる。 本作から受ける感覚は、それに近い。 収録作品を通して、退廃の気配が漂い続ける。だがその一方で、父の存在や異性への愛といった、生の匂いが濃密に滲み出している。 相反するはずのものが静かに隣り合ったとき、狂気だけが異様に自然なものとして立ちあがってくる。 これは極めて官能的だ。 金井氏は、女性だけが知る小さな地獄を、日常の中に見ていたのだろうか。
愛の生活・森のメリュジーヌ
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