W7Ed
@4nTeG00N
2026年5月7日
BUTTER
柚木麻子
読み終わった
バター、という題名通り、いたるところバター。
読み応えのある小説だった。
冷たく、硬く、熱が伝われば呆気なく溶けてしまうバター。乳は元は血で、生臭いものから甘く、味わい濃く、香り高いものが再生産される不思議。
わたしも若い時は友情とは?と思ってた時がある。進学、就職、結婚出産…めまぐるしい女としての立場の変化は、いとも呆気なく友情を溶かしてゆく。友の範囲は次々かわる。ヒエラルキーは瞬間的に構築され、自然と役割が決まり、場が作られる。場が解散した途端のすっと冷えた感情と疲労が残るあの感じ。そういえば溶けて再び固まったあの不味くなったバターの味に似ているかも。カジマナの主張がベッタリと心にのしかかる。
女の人というのは、みんなうっすら女が嫌い、といつか何かで読んだか聞いたか見たか。でもね、やっぱり、女は、女が好きだ。それは男性には決して向けられない、別の種類の愛だ。老後もこうやって喋ろうね、やっぱり女同士だよ!軽薄にその場で笑い合うが、その言葉を語る時、どの女も、案外嘘がない気がしている。誰もがそれを信じて、お守りにして、日々をなんとかやりすごしている。
水の上に浮かんだ油脂はつつけば離れ、そっと押しやれば集合する。まるで女の友情そのものだ。女の友情は細かく溶け合ってできている。
最後まではらはらしながら読んだけど、暖かく希望あるラストがよかった。


