
ましろ
@ruhistory
2026年5月7日
イン・ザ・メガチャーチ
朝井リョウ
〇他の感想でも述べられているとおり、「オタク」の解像度は極めて高いと思う。著者がアイドル好き、オーディション番組好きを公言しているので、自身の見聞に基づいた知見だと思われる。
3人のメインの登場人物はそれぞれどこかで筆者自身の投影なのだろうと感じたが、自分の推し活心理、推し活行動をこれほどに客観視できるのならすごいなと思った。(小説家たる)文章力、観察力、感受性を持ったオタクを目撃した気分。
〇私自身もアイドルが好きだし、とあるグループに応援という名の消費行動をし続けて10年以上になる。自分のSNSのタイムラインに流れていく投稿たちと、小説内のオタクの姿が酷似していて、うすら寒くなった。推し活が現実逃避であること、物語を信じようとあえて自身に課していることを私自身もどこかで自覚していたし、一連の消費に何の意味が残るのか疑問に思ったことも一度ではない。この本を読んで、より一層そのことに自覚的になった。今後は自分の推し活もこれまでとは違った見方が差し込まれることになる気がする。この本が良い本か、悪い本か、自分がこの本が好きか、嫌いかはまだわからない。
〇かつて、教わっていた大学教員が「最近の学生はみんな何かのオタク」と言っていた。従来は何かに一つに熱中している学生はそこまで多くなかった印象だそう。本書は本屋大賞受賞作となり、大衆の注目はますます増しているようだ。手元の本には、第16刷とある。これほどまでに話題となっているには、やはり"推し"を持つ人がそれほど多いということではないだろうか。この本は我に返らせるというか、俯瞰的な視点を植え付けられる本だと思うので、読んだ人たちは、世界で目にする物語をどのように見るのだろう。



