カミーノアン "生命式 (河出文庫)" 2026年5月7日

生命式 (河出文庫)
本書は、村田作品で執拗なまでに描かれてきた「正常とは何か」「人間はいかに環境へ適応してしまうのか」というテーマが、短編という形式の中で鋭く凝縮された一冊である。 「世界99」へとつながる「孵化」や、「消滅世界」を思わせる価値観が展開される表題作など、作品同士の連なりが感じられる点も興味深い。「ポチ」のような、SFホラーともコメディともつかない奇妙な味わいの作品が読めるのも、短編集ならではの特徴である。 現在の感覚では到底受け入れ難い価値観が「正常」として共有されたとき、人間はどのように変化していくのか。その問いをめぐる思考実験としても読める。「正常は発狂の一種」という言葉が強く胸に残る。
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