
にっかり青江
@faizRDM
2026年5月8日
硝子の塔の殺人
知念実希人
読み終わった
ミステリ好きの描いた、ミステリ好きのための物語
全編を通して、作者の並々ならぬミステリ愛が溢れ出ている作品。 このような作中のミステリ談義では、海外の古典的名作ばかりが引き合いに出されることが多い。しかし本作は日本の作品も数多く挙げられており、個人的にも大好きな綾辻行人や島田荘司などの名前が登場するのには、思わずニヤリとしてしまった。 ある程度ミステリを読み込んできた人ほど楽しめる作りになっている反面、小ネタがかなりの頻度で挟まれるため、ミステリに馴染みがない人は少し圧倒されてしまうかもしれない。
ガラスでできた巨大な尖塔、その中心を貫く螺旋階段、絶対に合鍵のない錠、そして招かれた個性的な客たち。 館の主人、刑事、料理人、医師、名探偵、メイド、霊能力者、小説家、執事、編集者。 ミステリとして完璧な舞台に、完璧な役者たち。この設定を読んだだけで、否が応でも期待が高まってしまう。
しかし物語は、冒頭いきなり追い詰められた犯人の描写から幕を開ける。「最初から犯人がわかっていて楽しめるのだろうか」と、一抹の不安がよぎった。 だが、それは全くの杞憂だった。犯人視点で進むプロローグから、「本作は推理とは無縁のサスペンスなのか」と思いきや、推理を要する状況が次々と生じてくる。「ああ、これで変則的ではあるが王道路線に戻ったのか」と安堵した私の予測をあっさり超える怒涛の展開が待っていた。
ラスト名犯人と少し頼りない名探偵――この二人の最後の対峙は、強く印象に焼き付いている。
ネタバレを避けつつReadsで本書の感想をちらほら見てる時に、月夜さんのスピンオフがみたいという感想を以前読んだが、全力で同意したい。



