
bluebird
@Reads_0229
2026年5月8日
ハンチバック
市川沙央
読み終わった
涅槃とは、悟りの地を指すと同時に、お釈迦様の死を意味する。人間の尊厳がある本当の涅槃にはまだ辿り着けないという釈華は(p.80)、紗花の世界では兄に殺されている。想像の世界では、涅槃に辿り着き尊厳を手に入れた、ということなのだろうか。
釈華の考える尊厳とは?寝たきりの隣人が下の世話を遠慮なくヘルパーに頼めるように、どんな状態でも自分が自分として生きていられることを尊厳というのなら、妊娠を望む釈華は(紗花の世界ではなく)釈華の世界で既に尊厳を手に入れているはずだ。妊娠は、自己の再生産だから。自己の再生産を望めること、それ自体が釈華が自分として生きることを全肯定できている、ということを意味するんじゃないか。
「普通の人間の女のように子どもを宿して中絶するのが私の夢です。」
力強い自己肯定の言葉と解釈したい。