みつまめ "黒牢城" 2026年5月10日

みつまめ
みつまめ
@mithumame
2026年5月10日
黒牢城
黒牢城
米澤穂信
米澤穂信の書いた本はいくつも読んで来たけれど、時代小説には不慣れなので避けていた。 ただ6月に映画化すると聞いて改めて調べると、面白そうな話だと思い直し手に取った次第。 慣れない単語や言い回しにつっかかりながらも、さすがの米澤穂信で、思ったよりスルスルと読めた。 展開もミステリー仕立てなので、先を捲る手が止まらなかった。 私は戦国時代の武将たちを華々しく英雄として扱う風潮が嫌いで、米澤穂信のことだから違うだろうとは思いつつ、この物語もそうだったらどうしようと思っていた。 結論として『黒牢城』は違った。 凶事が因果を作り、因果が凶事を起こして、それがまた因果を生む。 いかなる大義名文を語ろうと、戦争とは所詮人殺しにすぎないんだという考えを改めて深めた。 特に印象に残ったのは、最後に千代保が仏教を語るところだ。 「民衆は輪廻転生を仏に祈るのではない。今の苦しみが死んでからも続くことのないように、極楽浄土という無に魂が導かれることを祈るのだ」 戦乱の世、抗う力もなくただ振り回されるしかない平民にとって、彼女が厚く慕われるのも納得だと思った。 最後の官兵衛が残した心得は、この物語を読んだ者には身に沁みるのではないかと思う。 映画もいい出来になるといいな。
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