サンタマン
@santaman
2026年5月10日
錦繍
宮本輝
読み終わった
文章が上手いからどんどん話が入ってくるし、著者の別の作品である『春の夢』は十本の指に入るほど好きなんだけど、本作は正直古臭い感じがした。
「生きていることと、死んでいることは、もしかしたら同じことかも知れへん」というセリフがこの物語のテーマであるはずなのに、生きることが素晴らしいという前提のもと道徳倫理を持ち出して話を進めるのは、昔ならではの価値観でご都合主義な感じがする。
生と死は同じとしている以上、両者をフラットにした上で話を進めて、生きることを選ぶのかどうかを見たかった。
生を肯定するという点では、釘で柱に打ち付けられたトカゲに主人公は嫌悪感を抱いていたが、段々と自分を重ねることで生きることを選んでいくという『春の夢』の方が納得できた。

