はるき ⚠︎ネタバレ有⚠︎ "火車" 2026年5月10日

火車
火車
宮部みゆき
宮部さんの昔の著作は電書化されてないものが多いので、図書館で借りて読んだ。 長編だし、新たな登場人物が次々と出てくるのに、恐ろしいほどするする読める。 元婚約者の依頼から、一人の女性の身元を探っていくうちに、二人の女性の人生を辿ることに。 平成初期の物語だけど、元号が変わった今も、こうしたトラブルを抱える人達は多い。法整備されて、表面的には整ったんだろうし、当初に比べたら格段に守られているとは思うけど。 作中にあったように、ローンやクレジットというシステムが悪なのではない。使う側のわたしたちが未熟なのだ。 新しい技術やサービスを前にした時、常に頭に置いておく必要があると思っている。 でないと、使う側から使われる側になり、飲み込まれてしまうから。 ここまで極端でないにせよ、人は思っている以上に簡単に落ちていく。底に辿りついてようやく、落ちた事に気付く事もあるのだろう。 その場所から生き進むために、どの手段を選ぶのか。 いまの場所では考えつかない、選ぶはずないと思う選択を、選ばされることだってあるかもしれない。 彼女は別の世界線のわたしかもしれないのだ。 「ここで終わり?」と思ったけど、なぜ彼女がこの人生をえらばざるを得なかったのかを丁寧に描いてきて、それでもなお、彼女の言葉を欲するのは求めすぎだろう。 この物語の核は、彼女の告白ではない。 全てが語られる分かり易い物語は気持ちいい。 けれど、気持ちよさに脳を溶かし消費させることなく、快楽だけで終わらせない。 物語のテーマと締め方がしっかり結びついていると感じた。
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