
読書するはる
@surusuru
2026年5月10日
人間失格
太宰治
読み終わった
だいぶ前に一度読んだのですが、再び触れてみました。
どこか説明くさく、距離を感じるような語りがいっそう私たちとの乖離を増幅させていたと思います。
とは言っても、あり得ない話ではないというか、もしかしたらこういう人間が形作られてもおかしくない、というのが僕の率直な感想です。
彼自身を怠惰に感じてしまいやすい上、この作品を気持ちよく読める人生とはとても言えません。しかし、彼はそれこそ神のいたずらで、多くの人と違う感性を与えられ、そしてその身に余る周囲との不和が、彼の精神を少しずつ着実に蝕む沼へ引き摺り込んだとも解釈できてしまいます。何かあとひとつ、彼のパーツが欠けていればこうはならなかったかもしれない。
さらに言うと、失格というのもなんだかいただけない気がします。珍しく彼自身が思考して、その失格を決めていますがよーく考えてみれば彼はただの弱い人間、まさしくわたしたちそのものです。環境が変われば人は変わる、それを体現したような彼がなぜ、人間失格であることを認めたのか。それは彼の極度に否定することを嫌う気質によると思います。長いものに巻かれ、対立することを嫌うという現代人にも共通する丸みが、そして最初から自分が人間失格であったと考えた方が楽になれるという安寧への渇望が、失格という一種の諦念で自分の道化話にもならない人生を片付けようとしたのではないか、とそう考えてしまいます。