
がのおどり
@Nachtfaltertanz
2026年5月10日
文庫版 鵼の碑
京極夏彦
読み終わった
「仲良くしようと云うのは、同じになろうと云うことではないんですよ。違うものを違うままに容認し合うと云うことでしょう。でも、これが出来ないと云う人は殊の外多いんですよ。違うのは間違っている、直せと云う。自分と同じにしろと強制する。出来なければ」 排除する。 「人は一人一人皆違う。個と個は対等です。でも何か基準を設け、それに当て嵌まるか否かと云う形で見るならば、それは数値化される──数として認識される。そうなると、個個の違いなんかは無視されてしまうんですよ。多数は少数に勝ると考えてしまうのでしょう。その方が楽だからです。そして少数派は同化を強いられるか排除されることになる。時に、人権までが蹂躙されることになる。多数派が常に正しいとは限らないんですがね」 「それは」 何だか身に沁みて判るよと関口が云った。
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「そうしたことは、今に始まったことではありません。しかし、その昔は、そうした自分とは異なる者と共存するための文化的装置があった」 妖怪ですと中禅寺は云った。 「それは解らない。そう云う人達を化け物扱いすると云うこと? それって、余計に差別的じゃない?」
「違うんだよ緑川君。化け物は化け物なのであって、人間じゃない。人は人ですよ。化け物は、異った文化習俗を持つ他集団との間に生まれる恐怖、軋轢や齟齬そのものなんだ


