-ゞ- "ハーモニー" 2026年5月12日

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@bunkobonsuki
2026年5月12日
ハーモニー
ハーモニー
伊藤計劃
伊藤計劃はすごい作家だ。 自身が死へと向かっていく中で、「死なない世界」を否定してみせたのだから。 本作『ハーモニー』は、伊藤計劃の遺作である。グロテスクな世界を描いた『虐殺器官』とは正反対の、死から可能な限り遠ざかった世界が舞台だ。人々は体内に埋め込まれたデバイス「WatchMe」で健康状態をモニタリングし、互いを慈しみながら生きている。 ネタバレをすると、本作のラストで人類はさらに幸福な状態を達成する。表向きは喜怒哀楽があるように見えて、内面は常に恍惚とした気分でいられる理想郷に到達するのだ。 どうやって実現したのか? 人類から意識を消し去ったのである。 これはただの妄想なのだが、あの世界はまた"意識"を取り戻すのではないかと思う。物語の中でも、"意識"を後天的に獲得した人物がいる。 主人公はその人物の言動を反芻し、真似してきた。私には、それが理想郷のその後を示唆しているように思えてならない。
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