とうひ
@ohirune_touhi
2021年4月20日
52ヘルツのクジラたち
町田そのこ
読み終わった
ぎゅーっと胸が苦しくなるような小説だった。
辛い境遇を生き抜いてきた女性と今まさに辛い環境に閉じ込められている少年が、まるで運命みたいに出会う。
物語の中ではこの2人が52ヘルツのクジラ、として捉えられ、どこか哀しくてそれでいてほかの人間とは違う特別な存在として描かれていた。
でも、この2人のような悲しい境遇に生きる人間だけが52ヘルツのクジラ、つまり特別な存在であるという描かれ方には少し違和感を覚えた。
どんな人生を生きてきた人間だって、自分の中に秘めていることや、伝えようと思っても周りの誰にも伝わらないことは少なからず持っていると思う。
それが伝わらないからもがくし、苦しむ。時には諦めに似た感情さえ持つ。私も、同じ。
だからこそこの物語は、想像もできないような悲しい描写がありながらも誰もがどこかを自分と重ね合わせて共感して、たくさんの人の心に沁み込んでゆくのだろうな。
自分と考え方や想いがぴったり合う他人、その他人を見つけ出すことが、それぞれにとっての"52ヘルツのクジラ"を見つけることなのだと思った。