とうひ
@ohirune_touhi
2023年6月21日
おいしくて泣くとき
森沢明夫
読み終わった
とにかく温かくて、自然と微笑みながら涙が溢れてくる、そんな小説だった。
母親をはやくに亡くし、自分自身も怪我により夢を絶たれたけれど、誰よりも温かくて他人想いな心也。
義父の暴力に耐えながら弟を励まし続けて、でもたまにそんな優しい姉でい続けられない自分を憎んでしまう夕花。
不良で学校ではみんなから恐れられているけれど、家庭環境により仲間を失ってしまった石村。
3人が自分の境遇を受け入れながらもなんとかしようともがいて、子供ながらも明るい未来を掴み取ってい姿になんだかぐっときてしまった。
やっていることはやっぱり子供でかわいさも感じてしまう程だけど、多分3人それぞれのひとつひとつの行動には全て意味があって、そのどれが欠けていてもハッピーエンドにはなれなかったかもしれない。
特に心也の父親の人物像は本当に素敵で、子供の時に近くにこんな大人の存在があればたくさん救われる心があるのだろうなと感じた。
大人になってからの奇跡の話は派手な描かれ方では決してなく、なんだか静かにしっとりと描かれていたのだけれど、すーっと浸ってしまうような感動があった。
単純に2人がそのまま結ばれるようなストーリーではないところがまた良かったのかも。
とにかく温かい、良い小説。