
しをに
@remnkkswn60306
2026年5月12日
アヒルと鴨のコインロッカー
伊坂幸太郎
読み終わった
ぶ厚い短編を読んだみたいだ!
アヒルと鴨のコインロッカーというタイトル自体がそれこそ名も知らない神様の詩の一節のように圧倒的に美しいあまり、何がアヒルで何が鴨なんだっけと後から戻ることになったり。
なかなか話が進まなくて感情を保留してたけど、最後まで読んだら思ったより好きだった。特に2年前の3人の距離感が好きだったからだと思う。ゆえに単純にしんどくもある。軽妙なストーリーのテンポとなくなったものとのバランスよ。
各種軽犯罪の落とし前はどうすんだ!?椎名くんに関しては、君は君で自分の人生の主人公でもあるんだぞ!?の気持ちはあります。軽犯罪……軽なのか……?無茶苦茶だからいいのか?こういうのは法の機能があやふやな世界観での方が雑音にならなくていいな。
ちょっと前に短編ミステリを読んだから余計に、短編って、起きたことの密度に対して一人一人の人生の厚みがどうしても、ペーパー上のステータスのようになりやすいというか、単純に情報量の物足りなさは残りがちだと思っていて。
その足りない部分を、豊かに贅沢に丁寧にざぶざぶと愛嬌の溢れた文章で重ねて重ねて層を作って埋め尽くしたような話を読んだかのような、不思議な読後感でした。
ずっと足元にまとわりつく理不尽な暴力の気配と喪失の予感とその結果、に対して、小粋なゲーム盤上の見事な予定調和が、見事すぎて私の中では少し噛み合わなかった。こういうのは、遥か昔に読んだラッシュライフとかの方がハマってた気がする。いやもう単純な話、一人称で視点を重ねて読んでいた危うくも面白おかしい彼女があんな風に全てを閉ざすことにならライブ感を味わうの、きっつーと思って。全員きれいさっぱり死なんでも良いのではー!?最後には椎名だけが主人公の人生に戻ってきたって話なのかもしれないけれど。
なんだかんだでみんな、自分の世界で独立して生きていて、玉突きのように弾き合ったとしても他者の人生の責任は持たない、みたいな、そういうの根底にあるよなーとも思いました。
伊坂幸太郎作品では終末のフールが凄く好きです。すっごく好きなので読み返したいな。

