
けんたろ
@kentaro
2026年5月13日
らせん -
鈴木光司
読み終わった
『リング』である程度呪いの正体も掴めたし、呪いをキャンセルする方法も見えてたと思っていました。そのため、今作の序盤で主人公たちが呪いの存在に気づいて調査が始まった段階では、『リング』で行われた調査がまた振り出しになってそれを読まさせられるのかと心配していました。
しかし、そんな心配は杞憂でした。同じ事件でも『リング』とは異なるアプローチでの調査でしたし、なにより、『リング』ではただの怪異として表現されていた現象についても科学的に調査して真相が明かされていく。さらに、新たな謎が幾つも生まれて解決されていく…。もう読む手が止まりませんでした。
ある意味、SFですよね、この作品は。
『リング』よりはホラー描写が多かったと思いますが、それでもホラーというよりは医療ミステリーにも近いと思います。
ただ、一点腑に落ちないのが、彼が黒幕だったということです。彼にそんなことをするモチベーションがどこにあったのか、よくわかりませんでした。なんとなく、『リング』のときにはこのオチになることは想定してなかったんじゃないかと思いました。私が読み漏らしている記述があったのかもしれませんが…。
そういえば、『リング』でも今作でも、貞子がテレビから這い出てくる描写はなかったですね。あれって映画オリジナルってことでしょうか。
その他、気になったことをつらつら書いておきます。
プロローグでの子供を亡くした夫婦の描写が痛々しく悲しくなりました。その後離婚してしまうのも、いくら夫婦に愛情があったとしてもそうなってしまうことも大いにあるのだろうなと、つい思いを馳せてしまいました。
このリングシリーズは1995年ごろに書かれているようなのでかなり時代を感じる描写があります。特に気になったのは番組表のGコードについて記述されていたこと!懐かしい!当時、新聞の番組表と睨めっこしながら番号を打ち込んでたのを思い出しました。すっかり忘れていたことだったので、長い間使われてこなかったシナプスが久々に活性化したような、そしてノスタルジーを感じるような、変な気分になりました。
当時を思わせるような描写の一つとして、ワープロとそのデータの互換性の話がありましたが、これは初めて聞きましたね。たしかにOSのようなものもメーカーごとに違っただろうし、データ形式もメーカー独自のものだっただろうし、当時は大変だったんだなぁとしみじみしてしまいました。あと、感熱紙が出てきたのでこれは懐かしく感じました。当時、爪で引っ掻いて遊んでたなあと。
あと、これも時代を感じさせる描写だと思ったのですが、いくら教員からの問い合わせとはいえ、学生課が学生の住所や電話番号を簡単に教えちゃってましたね。当時の個人情報の観念を感じさせる描写だなと思いました。
最後になりましたが、先日、作者の鈴木光司さんが亡くなられたとのことで、今リングシリーズを追いかけている身として非常に驚きました。
心からお悔やみ申し上げるとともに、ご冥福をお祈りします。
