

けんたろ
@kentaro
ホラーを一番読みます。特に心霊系。昔はミステリーばかり読んでましたが、今でもたまに読みます。
本を読みまくるときと全然読まないときの差が激しいです。
- 2026年9月27日
海から来るもの藍上央理読み終わった冒頭からずっと、違和感のある描写や発言が散りばめられてて、読む手が止まりませんでした。 ネタバラシ後の主人公の行動は、素晴らしかったです。すべての女性に当てはまるものではないとは思いますが、母性というものの逞しさ、尊さを感じました。こういう時の男性って往々にして頼りなくて、よく分かってなくて、勘違いしてて、私もそうなっているのではないかと自省させられたような気分になりました。 こういう話ってよく村単位になることが多いと思うのですが、今回は町単位ということで、ちょっと珍しいなぁと思いました。 家族を亡くすこと、特に我が子を亡くすと、こうなってしまうのかと考えさらされました。本作を読んでいる時点では主人公の考えに賛同するのですが、実際にそういう状況に置かれた時はたしてどうなのか。うーん、どちらの意見も分かるような気がして、なんだか切なくなりました。 怪異に遭遇している時などの描写が素晴らしかったです。まさに強烈な悪臭を感じたし、悍ましくて気持ちの悪い状況が明確に想像できました。 文量はそこまで多くないので、サクッと読めました。 因習ものが好きな方にはドストライクの作品だと思います。女性の強さ逞しさを読みたい方にも、おすすめです。 - 2026年9月24日
無音 忌み語を紡ぐ町櫛木理宇読み終わった冒頭から、判然としないが不穏な表現が散りばめられていて、すごく惹きつけられました。 忌語という設定も、私の読書遍歴では見られないものだったので、新鮮でした。 クライマックスのシーン、私は超最悪の展開を想像していたのですが、そうならなかったので胸を撫で下ろしました。よかったよかった。 終盤まで胸糞感が続きますので、そういうのが苦手な方は要注意です。でも、クライマックスのシーンでこれまでのイライラやモヤモヤが一気に解消されるので、苦手な方でも読む価値はありますよ! 終始不穏な気持ちにさせられる、楽しいホラーでした。 - 2026年9月17日
縁結び斉砂波人読み終わった著者である斉砂波人(いみずななみと)さんは『堕ちた儀式の記録』でデビューされたと思います。この作品は私の琴線をベタベタに触れてくれたので、第二作となる『縁結び』を心待ちにしていました。 カクヨムで先行して公開されていたのですが、本派の私は今日まで読むのを我慢してきました。(結局なんやかんやで読み始めるのが今になってしまいましたが…) そして、読んだわけです。 ページ数は少なめだったので、一気読みしてしまいました。 話に引き込むのがうますぎる。 主人公たちが狂気に満ちて事件を調べる描写がありましたが、今考えるとある意味、私もその狂気の中で読まされていたように感じました。 全く新しいオチだったかというと、実は似たようなオチの作品はあります。 その作品をここで挙げるとネタバレになるのでやめておきますが、本作は「怪談」にこだわった内容になっていて、そこに新規性を感じました。 しかもテーマは「縁」ですからね。関係ありそうな資料の羅列ではなく、どれもが偶然聞いた怪談なのです。 稲川淳二の映画のあれにも似てると思うんですが、これもネタバレになるかもなので言及しないでおきます。稲川淳二の熱狂ファンが、このレビューを読んでるかもしれないですからね。 (本当は書きたい!だれかに共感してもらいたい!くぅーっ!) あと、何点か釈然としないところがあるんですよね。私の理解が追いついてないだけだと思うので、他の方のレビューを読んでヒントがあればなぁと期待しています。 いろいろと書きましたが、とにかく読みやすいのに中身は濃い、大満足の作品でした。 そういえば、私ごとなのですが、これまで結構ホラー小説を読んできているのですが、近いうちにこれまで避けてきた実話怪談系も読んでみようかなぁと思っていました。 でもね…、 この作品を読んでしまったがために、ちょっと躊躇してます。 怪談も読んでみようかというこのタイミングでこの作品を読んじゃったわけですからね。 これもなにかの「縁」なのでしょうか…。 - 2026年9月16日
八千草の兄妹 言の葉は川に流れる (メディアワークス文庫)fudaraku読み終わった一章を読み終えて、めっちゃおもしろい!となって、ちょっとでも空いた時間があれば読み進める感じで、没頭して読めました。 家系図が出てくる小説は初めて読んだかもしれません。確かに家系図がないと、理解できないぐらい入り組んだ話ではありました。 でも、そこがおもしろいところでした。 一族の背負った呪いと祝福。 こういう一族に限った話は意外と今まで出会ったことなかったと思うのですが、実はかなり好きだということが分かりました。新しい発見です。 村の因習モノが好きだから、それが更に一族に局所化したと考えれば、根っこは同じなのかもしれません。 あとがきにも述べられているのですが、テーマの一つとして「ことば」というのがありました。 ネタバレしたくないので詳しくは述べませんが、ことばのもつ力や儚さ曖昧さ、などについて改めて実感させられました。 あと、「名前」についての解釈も納得でした。 世界観も面白かったです。 基本、この現実世界がベースになっているのですが、なんだかちょっとだけ異なる常識があるんですよね。 冒頭から登場するので述べますが、ことばが流れる川が出てきます。その川を流れるのは水ではなく言葉なんです。なんじゃそりゃって感じですが、この小説の世界ではそれが普通みたいで学校でも習うそうです。 他にも現実にはない存在が大小あって、他の作品ではあまり見られないような独特の世界観が成立していて、そこも楽しかったです。 ミステリー要素もふんだんに盛り込まれていたので、読む手が止まりませんでした。 ちなみに、呪いが話の軸になっているので、ジャンルとしてはホラーなんだと思うのですが、怖い要素はあまりないです。 ホラー苦手な方にも読んでもらいたいなぁ。世界観が独特なので、普段ホラーを読まない人でもバッチリはまる人もいると思うんですよね。 いろんな人に読んでもらいたい作品でした。 - 2026年9月15日
- 2026年9月12日
秋の牢獄恒川光太郎読み終わった3編の短編が収録されています。 過去に「夜市」を読んで、独特の雰囲気に魅了された私。 本作も同じ雰囲気だといいなと、どうしても期待値があがってしまいました。 そして、読んでみての感想ですが、どれもがおもしろいのは言わずもがな、著者の独特のあの雰囲気は健在で、非常に満足度の高い読書体験となりました。 最後の一編はちょっとだけ雰囲気違う気がしましたが、それも楽しく読むことができました。 正直、短編ってちょっと苦手なんですよね。 良い短編ほど、「そんなところで終わるの!?結末読ませてよ!」とか「あれは結局なんだったの?設定教えてよ!」みたいなフラストレーションが溜まるので、どちらかといえば長編として読みたい派なんです。 本作も当然良作揃いでしたので、前述のフラストレーションが溜まってしまいました。 最後の一編なんて、これからだろっていうところで終わるので、キーッとなってしまいました。 良い短編に仕上げる一つのテクニックなのかもしれませんね、最高潮のクライマックスでスパッと終わるのが。 短編は終わり方も重要なんだと思います。 この作品、平成22年(2010年)の作品なんですよね。こう入った作品は時間が経っても色褪せないんですね。 恒川作品、俄然読みたくなりました。 - 2026年9月11日
読み終わった上巻と同じくたのしく読めました! 上巻で熱量上がってたので、そのままの勢いで一気読みしちゃいました。 随所に思わせぶりな表現や台詞があったり、名前だけ出てきている重要そうな人がいたり、これは長く続くシリーズになるぞ感がムンムンしてました。(実際長く続いているようですし) 本作もそれぞれの話がおもしろかったです。 「夜行」は切ない話でした。胸がキュッとなる感じ。このシリーズは、切なかったり感動したりするお話がちょくちょくあるので、それがすごく良いですね。 「忌檻」、これ最高。高飛車だった男がめちゃくちゃになるのはスカッとしましたし、その後その男が味わう恐怖が本当に恐ろしい。 大野木がお見舞いに訪れるシーンなんて、本当に最高でした。読みながら興奮しちゃって、目から文字が滑る滑る!一回読むのやめて、一呼吸置いてから読み進めた程でした。 あと、特筆しておきたいのは虻川千尋の話です。これも好きでした。 下巻では2話にかけて深掘りされてて嬉しかっです。 ただ、虻川の話が特別好きではない人からするとくどく感じたこもしれませんが…。 上巻のレビューでも言及したのですが、これでもかと言うほどに酷いイジメを行っていた人たちが、これでもかと言うほどに酷い目に遭うという、読者の気分を落として一気にブチ上げる最高の読書体験ができたので、個人的にお気に入りです。 虻川の考え方も特徴的で、この年で悟りを開いちゃってるというか、聖人の領域にいるというか。あんな考え方の人そうそういないし、おそらく今世で解脱したんじゃないでしょうか。 (クリスチャンみたいですから解脱はしないか) よくあるイジメものから一線を画しているように感じました。 感想が長くなってきたので、ここまでにしたいと思います。 もちろん、本シリーズは追いかけます。 第2巻も楽しみです! - 2026年9月10日
読み終わったまず、二つ目の章まで読んだところで、私の好みに完全一致していることを確信しました。 こういう怪異バトルが読みたかった! 佐々木事務所シリーズとか、あしや超常現象調査シリーズとか、そういうの好きなんですよね! そして、最後まで読んでみて確信は間違いありませんでした! 各話、一つずつ事件を解決していく流れになっているのですが、それぞれおもしろいです。 特に、「叫禍」という話の締めがすごく良いんです。 最後の一文、すごくグッと来ました。 たまにお咎めなしになる悪霊もいたりして、それも良いんですよね。 悪霊はもれなく祓うべき、ということではなく、情状酌量の余地があればそういうこともする。 人と霊を変に区別していないところが、好感を持てました。 下巻はすでに購入済みなので、ここままの流れで読んでいきます! - 2026年9月9日
墓地を見おろす家小池真理子読み終わった「名作!」、「すごく怖い!」という評判を聞いたことがあったので、ならばと思い読みました。 読んだ結果、「まあまあおもしろい」という感じでした。 決してつまらない作品ではないです。 が、特別おもしろいわけでもなかったように思いました。 期待値上げすぎたかなぁ。 大きな出来事が起きてさあ大変だ!という感じではなく、ちょっとずつちょっとずつ違和感が積み重なって、じわじわと追い詰められていく感じでした。 最近の作品では、作品の序盤とか、遅くとも前半までに大きな出来事が起きる作品が多いように感じています。 しかし、本作は前述のようにじわじわ系なので、最近の作品に慣れていると、もどかしく感じるかもしれません。 本作は1988年7月に単行本が刊行されたようです。 そのため、出てくる単語とか会話の言葉遣いとか当時のジェンダー感とか、時代を感じさせるものとなっていました。 こういう部分は、読みにくいということはなく、当時の雰囲気を体験できる良い要素でした。 なお、私が読んだことのある本の中では、一番古い作品となりました。 当時のホラー小説界隈がどんな雰囲気だったのか興味が湧きました。 まだ「リング」も発売されてない時代のホラー小説って、今ほど社会的立場が高くなかったのではと想像します。(「リング」は1991年6月発売) そう思うと、現代のホラー小説の礎となった作品を読んだような気がして、良い出会いだったなぁと感慨深くなりました。 たまにはこういった古めの作品に触れるのも良いことだなと思いました。 - 2026年9月6日
京都市民限定で求人が出ているとあるバイトについて(1)pako,円居挽読み終わった主人公が、一癖も二癖もある単発バイトを機転を利かせてこなしていく物語ですが、どの話も本当に面白いです! しかも、各章の最後に答え合わせのような、実はこう言うことでした、という展開があるものもあり、それが必ず不穏で闇を孕んだ内容になっています。 ストーリーによっては、明言せずに匂わせる形で終わるものもあり、余韻が素晴らしいです。 ちょっと気になったのが、主人公は友達もおらず青春というような経験を全くしてこなかったコミュ障という背景を持っているのですが、バイト中の彼にはその片鱗がほとんど出てこないこと…。 コミュ障ゆえに簡単なこともうまくいかないみたいなシーンがちょくちょくあっても良かったのかなぁと思いました。 とはいえ、こんなことは取るに足らないことで、登場人物はみな魅力的でキャラが立ってます。 彼ら彼女らのやり取りを読んでいて、大変楽しかったです。 京都の土地勘があれば、もっとニヤニヤしながら読めたんだろうなぁ。 京都市民には絶対的におすすめです。 - 2026年9月1日
偽葬家の一族小俵マリコ,木古おうみ読み終わったそうそう、こういうのでいいんです! 最近読んでる作品と比べると、全然怖くないですが、こういう幽霊などを扱ったエンタメ小説は大好きです。 モキュメンタリーホラー疲れしている私には十分に刺さりました。 すごく楽しめました! そもそも「偽葬」という考え方が新しすぎ。 なんであのやり方で幽霊が成仏するのかイマイチ分からなかったけど、おもしろいロジックですね。 著者の他の作品では「領怪神犯」を読んでいますが、似た雰囲気あるなぁと思いました。 今作もシリーズものになればいいなぁ。 なりそうな雰囲気は十分にありますよね。 続編が出れば、絶対に読みます! - 2026年8月26日
この会社は実在しませんヨシモト・ミネ読み終わったちょっとまって! この話って、『このショッピングモールは迷子を歓迎しています』と繋がってる?! まじか!びっくりした! しかも時系列がそういうことなのね…。 おもしろー。 本作で一番テンションが上がった時のメモを原文ままで書かせていただきました。 ほんと、本作についてなんの予備知識もなかったので、気づいた時の衝撃はひとしおでした。 本当は本作が先に刊行されているので、順番は逆なのですが、そこは仕方ないですね。 全体的にも面白かったです。 怖さについては、個人的にはちょっと弱かったかなあと思いました。 最後の方は、ちょっと失速したかなぁという印象でした。 『このショッピングモールは…』の方は、胸熱展開もあったのでこちらに軍配が上がるかなと。 本作の著者は、ショッピングモールとか大企業の本社ビルとか、大勢の人がいる場所を怪異の中心としてホラーを成立させているのがすごいと思いました。 普通なら思いつかない組み合わせですよね。 それでホラーを成立させてるんだから、その発想力はすごいです。 本作もカクヨムなんですよね…。 本当にカクヨムのホラー生産力、凄まじいですね。 - 2026年8月24日
こわいハコ東亮太読み終わった絶対、題名で誤解してる人いる。 こんなに重厚で禍々しい話だとは思いませんでした。 これは面白い! この題名だと、最近のホラーブームに乗っかった量産化されはホラー小説のように感じる人がいるんじゃないでしょうか。 下手したらモキュメンタリーホラーと勘違いする人も出てきそう。 「魍魎の匣」みたいな感じの題名の方が良かったと思いました。(具体的な案はないんですが…) 第一章から掴みが素晴らしかったです。 実話怪談とホラー短編が交互に記述されるんですが、何が起こるんだろうとワクワクさせられました。 その他の章も、基本的には実話怪談とホラー短編が交互に記述されるのですが、それぞれの話が単品だったとしても面白いものばかり。 全く飽きずに読む手が止まりませんでした。 妖怪や日本神話の話が出てくるのですが、それぞれ興味深い考察で、インテリ成分も摂取できます。 巻末に記載されている参考文献の多さにも納得でした。 また、話の展開は次々に謎が解明されたり、はたまた別の謎のがあらわれたりその謎の仮説が浮上したりと、ミステリー要素も多分に含まれています。 ホラーにミステリーが含まれている作品が大好きなので、ドストライクでした。 冒頭で述べた通り、題名のイメージで完全に油断してたので思わぬ収穫でした。 こういうのがあるから、題名だけで読まない判断をしちゃいけないなぁと思い知らされました。 ただ、そうなると、読みたい作品が溢れかえっちゃうのでどうしたもんか、ですね…。 - 2026年8月17日
このショッピングモールは迷子を歓迎していますヨシモト・ミネ読み終わった最初は、なんか変な話だなぁという印象だったのですが、一章が終わる頃にはかなりストーリーに引き込まれていました。 二章に入ると、真ん中ドストライクの好みの展開になってきたし、ホラー味も増してきて、続きが読みたくて仕方ない状態になっていました。 そもそも、本作って何故かモキュメンタリーホラーだと思って読み始めちゃってて、でも実はしっかりとしたホラー小説でした。 題名が、モキュメンタリーホラーでありがちな感じだったから、その先入観があったのかもしれません。 メインキャラクター2人は好印象でした。 奇抜な個性というわけではないんですが、キャラがブレることなく納得感のある立ち振る舞いをしていたので、すんなり受け入れられました。 ラストもかなり好みでした。 あまり言及すると推察できちゃうのでやめておきますが、私の好きなやつでした。 クライマックスでちょっとじんとくるシーンもあって、何一つ文句はありません。 そんなに長い話では無いんですが、密度が高くて大満足です。 この作品も「カクヨム」なんですよね。 なんかカクヨムのホラー生産量すごいなぁ。 良作がどんどん生まれてきますね。 - 2026年8月13日
反ミーム部門は存在しないqntm,鳴庭真人読み終わったむっず。 なんとなく話は分かりましたし、面白かったのですが、とにかく難しいですね。 翻訳もの特有の読みにくさもあるように感じました。 でも、反ミームっていう発想が面白かったです。『領怪神犯』にも、本作でいう「反ミーム」的なものが出てきましたが、それをめちゃくちゃ大きなスケールで深掘りしまくったお話という印象でした。 本作はSCP財団を源流とした作品のようです。私はこの存在を知っている程度の見識しかないのですが、たしかSCP財団ってホラーに分類されるコンテンツだったかと思います。 となると、本作はホラーになるのかもしれませんが、読んだ印象としてはどちらかというとSFに近いのでは無いかと思いました。 スケールの大きさはまさにSFです。 少なくともホラーでは無いかなぁと思いました。 - 2026年8月7日
怖い客矢樹純読み終わった一見、怖い客、嫌な客、面倒な客でも、その行動の裏にある意図、真相がわかった時、その客の印象がガラリと変わる。 物事、ことさら人物については、一面的ではなく多面的な視座が肝要。 そんな印象を持った作品でした。 よくこんなに何個も奇妙な、でも筋が通ったお話を作れるなぁ。小説家ってやっぱり凄いなと思わされました。 客がテーマですから、色々な接客業が出てくるのですが、それぞれのお仕事の解像度が高くて、丁寧な取材をされたんだろうなぁと感心しました。 なにより、この装丁、たまらないですよね。 かなり私の好みです。 怖いですよね。 - 2026年8月6日
ある修道士の自罪祇光瞭咲読み終わったなかなか面白かったです。 ミステリー要素も強く、飽きずに最後まで読めました。 これまでいろんな呪いやその影響を、見て読んできたのですが、本作のそれはかなり新しいものだと思います。 ネタバレは避けますが、人間のある一点にのみ呪いが作用してそれが根源となって大変なことになるという点で、先日読んだ『さかさまの』にも通じる部分があるなぁと思いました。わずかにですが、『闇祓』にも近いのかもと思いました。 明言されていたかどうか曖昧なのですが、舞台はイタリアあたりだと思います。そのため、登場人物たちの名前が覚えにくいです。覚えなくても大丈夫な構成になってはいるものの、覚えておいた方が読みやすいのは間違いありません。 こういう、外国が舞台で、しかもキリスト教の話って、よく書けるなぁと感心しました。時代小説並みに沢山調べなきゃいけないんだろうなぁと、思いを馳せました。実際に時代設定も古い時代ですし。 約200ページぐらいだし、お話も難しくないので、サクッと読めました。 お話は難しくないと述べましたが、それは構成が上手いから理解しやすいのだと思います。本作はなんかの賞を取られてたみたいですし、完成度の高さは間違いないです。 ホラー小説ということなので、怖さも評価したいのですが、あまり怖くはないかなぁ。個人的な好みではなかった。というのが正確かもしれません。 最後の終わり方、ラスト2行、良かったなぁ。 こういうの好きです。 今後も、本作の著者の動向はチェックしたいと思います。 - 2026年8月3日
その他の危険上條一輝,斜線堂有紀,新名智,梨,皮肉屋文庫,背筋読み終わった本作はホラー短編のアンソロジーです。 決まったテーマは特になさそうでした。 『小説新潮』に掲載された短編が収録されているようです。 普段はあまり短編を読まないのですが、作家陣が豪華なので読んでみました。 アンソロジーなので、どの話が好きだったかを書きたいと思います。 一番好きだった作品は、…うーん、決められない!二つあります。 斜線堂有紀『涸渇』 上條一輝『枯れた街の上でも』 です! 『涸渇』は、主人公に襲いかかる怪奇現象というか体調不良というか、それの描写が秀逸すぎました。 いろんなホラー作品を見てきていますので、呪いによる色々な症状も見てきているのですが、この作品のやつは新しい!こんな霊障見たことないです。 上述していますが、その描写が素晴らしいです。 短編なので、細かい話は端折ってあるのですが、その辺の詳細が知りたいから長編化してほしいぐらいでした。 『枯れた街の上でも』は、話のまとまり方が短編とは思えないクオリティでした。しかも短編なのに時系列が2つ同時進行するという凝った仕掛け。 しかも、短編ホラーでは端折られがちな怪異の原因、元凶についても描写されています。 短編でここまでやれるの?!という、概念を覆される読書体験でした。 その上、ちゃんと怖いっていうね、文句ないです。惜しみない賞賛です。 特別枠として軽く言及させて頂きたいのが、梨『プルーライト』です。 ネタバレしたくないので詳しくは書きませんが、梨さんってこういうのも書くのかーとびっくりしました。 梨さんの作品は『かわいそ笑』しか読んだことなかったので意外でした。 この話が、このアンソロジーの最後に収録されているのもなんかいいなと思いました。 満足度の高い作品ばかりで、大満足でした。 斜線堂有紀さんの作品は読んだことなかったので、手を出してみたいなぁと思いました。良い出会いになりそうです。 - 2026年8月3日
読み終わった前作から引き続き、あいかわらずの語彙、比喩表現。 巧みだなぁとつくづく感心してしまいました。 読んでて飽きないんですよね、そういう記述があると。 例えば、「その日は急に自暴自棄になった冬が、あたたかな東風を吹かせたような陽気だった。」みたいな感じ。ね?ぐっときますよね! そういうのが、随所に散りばめられていて、読んでいて楽しかったです。 あと、小ネタなんですけど、「近畿地方の〜」とか「都市伝説解体〜」が織り交ぜられた記述があったり、お話の舞台に犬鳴峠が近いこともあって「この先日本国憲法通用しません」というやつを想起させる記述があったり、ニヤついてしまいました。 前作は約400ページ、今作は約300ページでした。 そのため、今作は話が短いなという印象でした。 前作の感じだとこの辺りでもう一回ストーリーの展開があるはず…と思ったところで特に何も起きずに終了してしまいました。 そういうところから、今作はちょっと物足りなさを感じてしまったかなぁという印象でした。もちろんこれは、前作との相対的な評価なので、今作単体で見れば特に問題はないんですけどね。 前作と同様、ある地方に伝わる俗信、因習のようなものを取り扱ったミステリーです。ホラー1、ミステリー9という感じですが、ホラー小説ばかり読んでいる私としては、たまの味変にちょうど良い塩梅かなぁと思います。 このシリーズ、ぜひ続いて行って欲しいです。 - 2026年7月30日
さかさまの木犀あこ,朱華読み終わったこれは面白かった! 怖さもちゃんとあって、なおかつ、ずっと引き込まれるストーリー。 ダレることなく駆け抜けました。 約300ページというボリューム感もちょうど良かったです。 特筆したいのは、紫織さんの死生観というか思想というかなんというのか分かりませんが、それが良かったです。 具体的に言うと、「善人も悪人も死んだら即成仏する。だから悪霊は存在しない。呪いなどの類は、生きている時の負の念、感情が残っていて、それに触れた者に悪影響を与えているだけ」という考え方です。 実はこれ、私の考えと100%合致しているんです。だから痺れました! 地縛霊は、場所に対する激しい念、感情が強く残っている状態。だから、霊そのものはその場所にいないんです。 生き霊は、生きている人の激しい念、感情が作用している状態。これも、霊そのものは存在しない。 という感じに考えています。 自分の考えを代弁してくれているような感覚になり、すごく嬉しかったです。 あと、登場人物の思考と私の思考が合致しているのも良かったです。 これってあれと繋がってんじゃないの?って私が気づいたらすぐに登場人物がその話をしてくれるのが心地よかったです。 よくあるのが、明確にあの件と繋がってるじゃんっていうのが分かっているのに、登場人物たちは全然気づいてなくて、後々になってから「実はあれとあれが繋がっているんだよ(ドヤ顔」っていうやつ。これ、個人的に冷めるんですよね。それが本作には無くて、すごく読み心地がよかったです。 あと、登場人物の言葉遣いの使い分けが絶妙でした。台詞の前後に誰がそれを言ったのかが書かれていなくても、言葉遣いで誰が言ったのかが分かるんです。 最後の方で、百々果の口調がたこつぼと一緒になるところとか最高でした。 口調がキャラクターごとに違うから、脳内で台詞が再生される時、声色もイメージできちゃうんですよね。あと、話すスピードとか。 素晴らしいテクニックだと感心しました。 ということで、ここまでベタ褒めしてきたわけなんですが、なんか本作ってまだまだ続きが書けそうな感じですよね。 登場人物も魅力的だし、しず子は生きてるし。 続編出て欲しいなー、シリーズ化して欲しいなーと思っています。
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