
A.
@fu_0411
2025年12月16日
ミーツ・ザ・ワールド
金原ひとみ
読み終わった
感想
圧倒的に分かり合えない価値観、死生観と出会った時、人はどうなるのか。
多様性を問われるこの令和にこそ読むべき本だった。
人の出会いは世界を変えるし、豊かにもするけど圧倒的に分かり合えない人と出会って、大事にしたくて好きだからこそ踏み込むべきでない部分もある。大事にしたくて好きだからこそわかり合いたいと思って、幸せでいて欲しいと思って言葉を尽くして分かろうとするけどそれって私がわかりたいと思うだけで、相手はわからない部分をわからないままでもじゅんぶんよかったのでは?自分の尺度の"幸せ"を相手に押し付けているのでは?という気付きがあった。
ゆかりはライの希死念慮がわからないけど生きて欲しいと願ってて、大好きでわかりたい気持ちで精一杯を尽くしたけどライは消えてしまう。
でもライと出会ったからゆかりは自分の知らない自分や世界、アサヒとユキとオシンって言うライに出会う前なら絶対に交わることのない人たちと何気ない日々を過ごして一緒にご飯を食べて笑い合ってる。それはきっとライとゆかりが出会ったことでもたらされた世界。
ステレオタイプでバイアスかかってることに気付いて、自分にはわかり得ない感情や生き方をしている人たちに出会ってゆかりは自分の大切にしたい生き方に気付けた。
私もオタクで独身アラサーで周りからしたら"普通の幸せ"を歩めなくて、わかってもらえない部分もあるし、うっすら希死念慮がある。
ライのように性質とまでは思わないけど。ゆかりでありライ。
アサヒの人に愛されたいと願う気持ちもわかる。ユキのように幸せになるのが怖いのも。みんな生きづらさや人にわかってもらえない部分を少しずつでも持ちながら生きている。ライが消えてからゆかりを心配して3人が優しくでも現実的に支えてて…ライと出会ったからこそ出会った人達がゆかりの日々を作り始めるのっていいなぁと思った。
アサヒのように何度もゆかりに対してバイアスかけんな。ライはライの生き方があるよっていう受け止め方が素敵で見習いたいと思う。多様性の理解って分かり合えないけど尊重して強制せず共生することな気がする🥲
ユキがゆかりに言う"ライに対して自分の真実を押し付けようとする時、由嘉里だって苦しかったでしょ。それはそうすることで相手の大切な部分を殺してしまうからだよ。私たちは同じ世界を生きてないんだから。"
"離れた存在と近くで生きてると、必ずどちらかが壊れる"
"人が人によって変えられるのは45°まで。90°、180°捻れたら。人は折れる。それはそれで死ぬよ"
が本質なんだと思う。人はどこまで行っても1人で自分の世界と他者の世界がある。それが交わる瞬間は確かにあるけど全部を理解したりわかって欲しいと思って行動するからぶつかったりすれ違ったりする。圧倒的な違いの前でそれは意味をなさなくて、どうしたって理解し合えないからそれを踏み込んでわかって欲しい!変えて欲しいと言ったらそりゃ言われた方は侵略された気分で苦しいよなぁ。でもそれをわかっていても幸せを願いたい、圧倒的な憧れのような二次元のような手の届かない存在だからこそ私の尺度の幸せを願ってしまう。
ゆかりはライの消失を受け入れて、泣きながら想いながら日々を圧倒的な力で生きていく。ライを思いながら。
いつかライにあの日の朝日が届くことを読みながら願わずにはいられなかった。