
トリュフ
@truffle-117
2026年5月13日
何者
朝井リョウ
読み終わった
人はこんなに「何者か」になりたいんだなという気持ちになった。私は何者かになりたい欲はそこまでないような気がするけど、評価されなさすぎると寂しいし、いないものみたいに扱われるのは嫌なのだから、やはり「何か」にはなりたいのかなと自分を見つめ直すなどしました。
私も比較的、観測者目線で物事を見るタイプなので、主人公のやってることや感じ方、考えてしまうことには共感した。ただ、私は理香さんは、やや面倒くさいしアプローチの仕方が下手だけど、自分のために努力ができる人で「すごい人判定」になるし、銀次も「低評価でも諦めずに動けるやつ」になるし、(ただ、この先何年も低評価が続いたら現実見ろって思うし、借金とかしてたら叱る)隆良はまず行動してみろと思うので、感じ方はちょっと違うのかなと思った。観測してしまうはしょうがないとして、それを誰かわかるようにオープンな、しかも証拠が残る場でやった時点で主人公は負けって感じ。せめてバレないようにやれ。
そして、まず評価される場に立てっていうのは本当にそう。自分の中にしかない「最高傑作になるはずの妙案」なんて⭐︎1評価作品より意味がない。出して初めてスタートライン。一応クリエイターとして生きているので、強く思いました。
完璧主義を理由に作品を出さない人ってだいたい完璧主義なんじゃなくて、「作品を良いものにしようとする努力ができない」のと「自分の実力を直視できない」だけの人がほとんどだと思うので、まずはそこを超えてからだと思いました。
主人公が、光太郎と瑞月さんのことを評価している時もなんか「自分とは持っているものがそもそも違う人達」って思っていそうなのも興味深いなと思った。
そこまで最初の装備に違いがあるわけではないように見えるし、道を進む過程で、「相手が自分の手で掴んできたもの」を相手のチート技能みたいに思ってる感じ。
はっきりそういう描写があったわけじゃないけど、自分にはそれがないから仕方ない。みたいなあきらめをしていそうな感じ?が、観測者目線で何者かになりたい人物って感じがした。
もちろん、家庭環境とか、関わってきた人間とかで初期装備が変わることはあるんだけど、そうじゃないものも、そういうものと同一で雑に相手の階段としてみるのは、自分を低く見るひとの特徴って感じだなーって思いました。
あと理香さんが、拓人の裏垢に気がついていたのにプリンタを貸すような関係を続けていたってとこには若干らしくなさみたいなのは感じた。理香さんなら、すぐ全員にそのことを話しそう、話さなくても一人でプリンタを借りにきた時は、貸すのは渋りそうって思ったので少し腑に落ちなさみたいなのは感じた。あとすこし啓蒙的な印象が強い気はした。でも全体的には興味深いテーマをうまく調理した作品だったなと思いました。
最後主人公が皆をギンジの舞台に誘うエンドも結構好き。
イン・ザ・メガチャーチ・正欲みたいに、新たな感性に触れるとか、スターみたいに強い共感を覚える作品ではなかったけど、「ああ、わかる」ってなる世界の縮図を見せられてる感じの作品でした。

