ひかりとかげ "僕たちは伝統とどう生きるか" 2026年5月14日

僕たちは伝統とどう生きるか
大学の卒業制作で西陣をサーベイした時から「伝統をそのまま残す」という事に疑問を持っていて、まさにこの本に出てくる解釈学のガダマー先生は「ムリじゃね?」と当時の自分をバッサリと否定してきた。 「日本とは何か?」 「日本文化や伝統とは何か。」 仮に他国の人に聞かれた時に彼らが納得する答えを出せる人はいくらいるだろうか。 その答えが出せない事が今まで不甲斐なかったが、この本を読む事で前提が間違っていた事に気づく。 そもそも「日本」を単一の文化として語ること自体に無理があるのかもしれない。 豪雪地帯、火山地帯、湿潤な沿岸、山岳地帯。 この国は、場所ごとにまるで異なる自然条件を抱え込んでいる。 仮に「日本らしさ」を語るとしても、それは後から国家や時代によって整理・編集された物語の側面を持つのではないか。 いずれにせよ「了解」の及ばない概念にしか語れない所が歯痒かったのだと理解した。 先日にバイクで秩父や利根沼田などを巡った。 山々は人のスケールを遥かに超えた大きさで、滝は人が立ち向かうことを完全否定するぐらいに轟轟と流れ落ちる。自然は美しくもあり圧倒的な理不尽。 その中に商店や路肩、道の駅には地域によって様々な発酵食品や名産品、手細工の作品が売られている。 我々のルーツはこの美しく優しいが、時折恐ろしさと理不尽さを持つ「大自然」と共に歩んだ所にあり、それを現代まで語り継ぎ紡いだものなのだろうと思った。 編纂され語りやすい記号としての「TRADITIONAL」だけでは語れないところを今後も様々な地域を訪問して「納得」いく解釈を重ねていきたい。
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