
chika
@koitoya
2026年5月14日

(新装版)石垣りん詩集
石垣りん
読み終わった
石垣りんといえば戦争の詩というイメージがある。
正直それを読むのはしんどいかもな、と思って読み始めたが、それはやや見当違いで戦争というよりもひとりの女が自分のためではなく働き、家計を支え、日常に押し潰されながら生きていくこと。その暮らしが、戦後になってもなお戦争と地続きであること。その静かな重さが胸に残った。
「私の家はちいさいのに暮しが重い。
二本の足で支えているのに
屋根がだんだんずり落ちてくる。
しかたがないので
希望とか理想とか
幸福とかいうもの
それらの骨格のようなものを
ひとつずつぬき捨て
ついに背骨までひきぬいてしまい
私のからだはぐにゃぐにゃになってしまい。」
(『生えてくる』より)
平易な言葉で書かれているのに、少しずつ心に沈殿していく。読み終えてからじわじわ効いてきて、その悲しさにあとから気づくような詩たちだった。
教科書やアンソロジーで触れたときには、そこまで惹かれる詩人ではなかった気がする。でも今読むと、静かに削られていく生活や、自分を後回しにして生きる感覚が切実に迫ってくる。
ここ最近、自分を追い詰めるような本ばかり選んでいる気もする。けれどそれは人が少しずつ摩耗していく現実を、誤魔化さずに書いた言葉を読みたいのかもしれない。
