
高卒派遣社員
@hidari_s
2025年3月20日

幻肢痛日記
青木彬
読み終わった
フリーランスのキュレーターとして働く著者は、12歳の頃に骨肉腫を患い、人工関節への置換を受けた経験を持つ。
2019年9月に夜道でつまずいたことがきっかけで、右足に痛みを感じ医師に診てもらったところ、夜道の件とは別に、感染症の影響が見つかり、足を切断することをすすめられる。
右足の切断後は「無いものの存在」と向き合う日々が綴られている。闘病記のような文章をイメージしていたが、これまでに読んだことのないような不思議な本である。
知覚できるから存在するのか、存在しているから知覚できるのか。無いはずの右足、義足、義足のためのソケット、タトゥーなどを通して「ある」「なし」の狭間を何度も往復する。
幻肢の感覚や幻肢痛をアート作品のように様々な角度から見ているといえば良いのだろうか。おそらく読み返すたびに著者の思索のプロセスをなぞりながら新たな体験や認識が立ち上がってくるような気がする。