
amy
@note_1581
2025年3月20日

ビニール傘
岸政彦
かつて読んだ
感想
ついに岸先生の小説にまで手を出しました。Podcast→「にがにが日記」→「ビニール傘」。
なんかずっと曇りで雨がしとしと降っていて、それを古いアパートから眺めている感じの小説だった。風景の湿度が高いというのか淀川が出てきたからそう思うのかもしれない。川の流れの音が聞こえているみたいだった
岸先生、大学のお仕事を始めるまで日雇いのお仕事をしていらっしゃったそうなのでそういう生活圏で生活史ている人たちの描き方がすごいリアリティがあって、その閉塞感に読んでて胸が苦しくなる
二作目の「背中の月」は生活の苦しさというよりも当たり前にいてくれた者(物)がいなくなってしまうことと、いつまで経ってもそれが自分に馴染まないことへの息苦しさや自分の内側に閉じこもってしまう感じがヒリヒリするぐらい痛切だった。でも1作目も2作目も閉塞感のなかに安全ピンの先端でちょっと穴を開けたような、かすかな風通しのよさもあって、読了後の余韻がよかった



