たま子 "熟柿 (角川書店単行本)" 2026年5月16日

たま子
たま子
@tama_co_co
2026年5月16日
熟柿 (角川書店単行本)
ただひたすらに労働し時間が過ぎる毎日のなかで、あらかじめ自分の未来に同情しながら生きる人生のなんと長いことか。でもその時間の先でその長い苦しみを帳消しにするほどの光が待っていることもあるのかもしれない。 気長に待つことと、別の選択肢があるかもしれないと求め動くこと。そのどちらも希望をもち誰かを信じた先にある行動なのだと考えると、かおりさんはもうすこし自分のために生きてもよいし、はじめから本当はこうしたいともっと主張してもよかったのだ。簡単ではないし、とても根気がいるし、その結果誰かを傷つけるかもしれないけど、罪をつぐなうことと自分を蔑ろにすることは同じではないし、誰かの未来にとって何が最善かなんて到底推しはかれるものではないのだから。『BUTTER』の「自分を粗末にすることは、誰かに怒りをぶつけていることだと思うから。」という文章を思い出す。子は親に幸せであってほしいし、子に依存せず自ら希望を見つけてほしいはずだと思うのは、経験からか。 「見て見ぬふりはできません」p110 そう言ったくじゅうろさんの言葉に、この本のすべての切実なものがつまっている。目を背けたい過ちも、誰かのSOSも、自分の本当のきもちも、向けられた誠実な好意も。
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