
JUNYA WARASHINA
@junya-warashina
2026年5月17日

赤の自伝
アン・カーソン,
小磯洋光
読み終わった
「怪物」なんて、自分で選んだわけじゃない。
アン・カーソンの『赤の自伝』は、ギリシャ神話に登場する怪物ゲリュオンの物語。赤い肌を持ち、英雄ヘラクレスに倒される「負ける側」の存在だ。でもカーソンはここで、その怪物を語り手として生き延びさせる。
「怪物は自分が赤いことを誰のせいにできるだろう?」
この一行がずっと頭に残る。
赤く生まれたことは、誰のせいでもない。でもその赤さは、生きていくうちにどうしても自分の一部になっていく。消せないし、隠しきれない。そういう「自分にしかない何か」を抱えたことがある人なら、この問いはきっと他人事じゃない。
これは怪物の話じゃなくて、自分の中の消せない部分と、どう生きていくかの話かもしれない。火を消すためじゃなく、火を持ったまま生き延びるための物語。
