
ペンアブ
@ddd_kool966
2026年5月15日
猫物語 (黒)
VOFAN,
西尾維新
読み終わった
西尾維新
なんで羽川翼と阿良々木暦は付き合えなかったのか。
そんな感想を言わざるをえない。
羽川が抱えていた問題は重く、いち高校生である阿良々木にはどうしようもない現実だ。それは間違いない。
羽川の身を蝕んだ本質は怪異ではなく、怪異と比べて遜色のない暗さを持つ家庭環境という問題である。
忍野が「きみにできることはない」と言うのも当然だ。
実際、阿良々木は障り猫に対して、人として完全に敗北していた。従僕である吸血鬼がいたから、たまたま大過がなかっただけである。
羽川が『家族』という名の怪異に呪われており、阿良々木もまたその呪いに立ち入ることは難しいため、二人が付き合うことはない。
家族になることはない。
というよりも、刊行順を考慮すれば「なかった」という過去形で表される。
なんというか、とにかく徹頭徹尾が酷な話だ。
オチが記憶の忘却というのも、まさにタイトルが示す通り、このエピソードの黒さを象徴している。
なんだかなあ。
もやもやする。良い話だったような気もするし、実際に良い部分は間違いなくあった。あったのだけど。
それでも、羽川が最後に言った「いいわけないでしょ」という辛苦の台詞は、確かな重さをともなって、今もまだ私の胸の内に残っている。
阿良々木が見せた自死の献身は、恋でも性欲でもないのなら、果たして何だったのだろうか。

