
Anna福
@reads--250309
2026年5月18日
暗黒の瞬間
エリーザ・ホーフェン,
浅井晶子
読み終わった
読み始めは、情に流されすぎる主人公弁護士エーファや、後味の悪い結末に「それはダメでしょ」と感じ、シーラッハ作品のような冷徹さや禁欲的な法の視点とは違う甘さにもやもやした。
ただ読み進めるうちに、単純な勧善懲悪ではなく、法だけでは裁ききれない人間の弱さや感情、そして弁護士自身もまた暗闇を覗き込みながら踏みとどまろうとする血の通った人間として描かれていることに気づく。
また、『暗黒の瞬間』とは、弁護や裁判で出会った依頼人たちの内なる闇落ちの瞬間だけではなく、主人公エーファ自身の暗闇でもあった。
彼女自身もまた、罪と罰、人間の弱さに触れる中で揺れ、引き摺り込まれそうになりながら抗っている。
シーラッハが不条理を突き放して描くのに対し、ホーフェンは、罪と罰の狭間で揺れる人間そのものを描いていると思った。
最後まで読んで、題名の意味が腑に落ちた。





